退職金を割り増し提示される早期退職制度に応募しても、必ずしも提示条件で退職できるとは限らないのです。
というのも、早期退職制度に応募しても、退職が認められるためには従業員側と会社側とでの合意が必要だからです。
これが問題になるのは、会社としてはぜひとも残ってほしい従業員が、早期退職制度に応募してきた場合です。
早期退職制度の応募と言えども、それを会社側が承諾しなければ、成立しません。
そのため、こういうケースでは、会社側が早期退職制度に応募してきた従業員に対して、早期退職制度に基づく退職を拒否することができます。
もし、早期退職制度に応募したのに会社側がそれを拒否した場合は、従業員側は改めて、
・現在の会社に働き続けるか
・早期退職制度への応募でない、通常の退職を願い出るか
を選択することになります。
後者を選んだ場合、当然ながら早期退職制度による退職金の割り増しはありません。自己都合退職扱いとなるため、想定よりも低い退職金の受領にとどまるかもしれません。
早期退職制度を利用すれば、割増退職金を得られるため、お金の観点では多少有利に運べる局面もあるかもしれません。
しかし退職後の収入をどうするかなど、改めて生活設計が必要です。
退職後に無職の期間が数か月以上続くなら、割増退職金をもらっても結果的に損になる場合もあり得ます。
また、会社から早期退職を拒否されて引き続き勤務を続ける場合、退職を申し出た実績だけは残るため、会社に居づらく感じるかもしれません。
早期退職制度も、なかなか奥が深いです。使いどころと損得をよく考えてから、利用すべきですね。